春 限定の熱?

 漢方医学の研究は、大昔に中国で書かれた医学書を読み、実際に起こる症状に照らし合わせ、それを考察する学問であると思っています。

 私は、漢方医学の聖典とされる「傷寒論」を中心に研究し、患者の病と向かい合い、身体の中で何が起こっているのか?漢方薬は何を処方したらよいのか?を考え実践するやり方で医術を高めているつもりですが、なかなか思うようには上達しません。
 
 今回は、医学書と実際が異なる経験を話題にあげてみたいと思います。

傷寒論に「温病」という病のことが書かれています。
「太陽病で発熱して喉が渇いて寒気がしない者は温病となす

太陽病は、皮膚表面とくに後頭部から背中、腰にかけて冷えると、冷えているところと熱を持つところが発生します。すると、頭やうなじに強い痛みが生じたり、悪寒がするようになります。このような症状は風邪をひいたときによくありますね。
ところが、温病は発熱して喉が渇いて悪寒がしません。症状が異なるようです。

 温病は春の陽気に当てられて発症するといわれていますが、冬でも温病を発症し、春といえども温病ではない人がいらっしゃいました。

 冬だから~病、春だから~病といって診断するのは正しい診断方法ではないことが分かります。
 
 しっかりと温病とは体の中で何がどうなっているのか?つまり、病理を理解しないといけません。

 さらに、漢方医学は観察力、そして、経験に基づいた直感力が大切です。
 誤りのないように研究をしていこう。

観薬堂 ~漢方医学研究所~ 東広島市西条町

漢方医学で健康寿命を延ばそう

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